日本歴史紀行

歴史好きで、様々な史跡を巡る紀行ブログです。

静岡模型紀行 5 ‐ 6 不撓不屈のトップメーカー TAMIYA 6

葵 北風




静岡ホビーショー2023




静岡ホビーショーは、

タミヤ、アオシマといった静岡の模型メーカー

を中心とした静岡模型教材協同組合が主催し、毎年〜ゴールデンウィーク後の翌週を目安に開催され、名実ともに日本最大規模の模型の新商品、愛好家による見本市を5日間に渡って行われる展示会です〜


盛況のタミヤブース




【第61回 静岡ホビーショー】となったホビーショーが2023年5月10日、ツインメッセ静岡にて開幕しました。



コロナ禍の影響もあり、

会場内の入場に際し、検温と事前登録での入場制限はあるものの、ほぼ4年ぶりの大規模な通常開催となり、久しぶりの一般開放に、当時のぼくは会場へ行くのを心待ちにしていました。





5月10日、午前10時から、恒例となっている同組合の合同記者会見が開催され、組合理事長を務めた生前のタミヤ代表取締役会長兼社長の田宮俊作氏が報道陣の質問に答えました。




以下、田宮俊作氏の生前の記者会見のインタビュー全文です。






記者〜田宮会長の模型に対する想いをお聞かせ下さい。




田宮氏〜

今マンガや映画などの“キャラクターもの”が流行っていますが、模型は我々の手で作る。

そこが重要なところです。


それを進めて貰うために、静岡大学の教授も応援してくれています。


学校教育の中で模型を作る。地味ですが重要な取り組みだと思っています。



記者〜

模型市場を今後どのように伸ばしていこうと考えていますか?



田宮氏〜

模型市場は、マンガや映画がどーんと伸びるのと比べたら地味ですよ。

ただ、いま日本でもジワジワ広がっていて、香港や東南アジアでも同様です。

それが今後大きな商売になるかどうかというのは別にして、静岡大学だけでなく、教育学部のある全国の大学に参加を促してやっていただく、そういう取り組みが大切だと考えています。


今の子どもは、完成品を与えられることが増えていて、自分の手で作る、これが重要です。


静岡にもウクライナから来た難民の方がいらっしゃるが、ミニ四駆をやってみたら、自分の手で組んで、自分で走らせるということで、感激していました。



記者〜

タミヤ会長としてお伺いします。今年の注目アイテムは?



田宮氏〜

戦車や戦闘機じゃなくてラジコンカーです。

どれも楽しいですよ。




記者〜

意外な回答でした。



田宮氏〜

そうですか? かつて鉄道模型が廃れていったのは、レールを引かないと走らないから。


ラジコンカーは、遠隔操作で走らせることができる。これが魅力なんです。


アメリカで電動ラジコンカーを流行らせたのは我々タミヤです。


それまでは乾電池で走らせていましたが、我々は三洋のバッテリー、300回充電できるヤツですが、これを付けて売ったんです。

当時売れに売れました。




記者〜

田宮会長は、てっきり戦車や戦闘機をまっさきに挙げるものだと思っていました。




田宮氏〜

いやいや。ヨーロッパの模型の本場であるドイツではドイツ戦車は人気がありません。

蹂躙された過去がありますから。


戦車といえばポルシェ博士ですが、今の日本には博士のようなリーダーがいないので、日本の戦車はよくありませんね。



記者〜

今年のタミヤのラインナップを見ても、やはり田宮会長独自のこだわりが感じられますが、田宮会長は新製品の開発にどのレベルまで関わられているのですか?



田宮氏〜

そこはずっと変わっていません。戦車ならまずは現物を見に行くところから始めます。




記者〜

ボービントンやソミュールなどの戦車博物館に取材に行くということですね? それを田宮会長ご自身がやられているのですか?




田宮氏〜

そうです。メリーランドのアバディーンにもありますね。

そこの館長に話を聞いて、戦車を見る。これが大事です。

そのお礼としてドネーション(寄附)をする。それを世界中でやっています。



記者〜

ボービントンにはタミヤホールがありましたね。



田宮氏〜

あれはたしか3,000万円ほど寄附しました。

アメリカのスミソニアン博物館ではこういうことがありました。

スミソニアンの方が【ミスター田宮、あなたの会社はアメリカでビジネスを展開されて、成功を収められた。だからスミソニアンに寄附する資格がある】というんです。

寄附してくれとは言わない(笑い)。

そういう経緯もあり、スミソニアンにある日本の潜水艦が運んだ水上戦闘機 晴嵐の修復で協力しましたね。これは宣伝じゃありませんよ(笑い)。




記者〜

タミヤといえば模型ですが、田宮会長として、今後新たに模型化したい対象は何かありますか? それとももうやり尽くしたという想いもあるのでしょうか?



田宮氏〜

いやいや。そんなことありません。

まだ全然です。タミヤの楽しい工作シリーズを見ていってください。あそこに答えがあります。楽しい工作シリーズは学校教育にも優れた教材になっています。これは任天堂のようにバーチャルな世界でありません。自分の手で組み立てて実際に動かすことができるんです。


この取り組みはドイツでも評価されています。


似たような教材がヨーロッパにはないからです。ドイツの教育現場では、今流行のバーチャルなものより、こういった教材を重視してくれています。それは現場の教師がしっかりしているからです。

ドイツは戦後、アメリカに押しつけられた6・3・3制(日本でも取り入れられている小学校6年、中学校3年、高校3年の学校制度)を拒絶しています。俺の国の教育の歴史は、あんたの国の歴史より長いと、ゲルマン民族の誇りがあるんですね。



記者〜

タミヤ会長としての今後の目標は何でしょうか?




田宮氏:会社をより大きくすることです。

記者会見でも少しお話ししましたが、今フィリピンに工場を建設しています。今年の10月に完成しますが、それによってより多くの需要にお応えすることができるようになる。

このコロナ禍で、大きな需要があったにも関わらず、我々の生産能力が足りず、十分にお客様にデリバリーすることが出来ませんでした。

これが改善されます。楽しみにしています。




記者〜

フィリピンの新工場が完成すると生産能力はどの程度向上するのでしょうか?



田宮氏〜

20%ぐらいでしょうか。



記者〜

タミヤのプラモデルの品薄は解消されると期待していいのでしょうか?



田宮氏〜

正直な所、まだ足りないと思います。日本にも工場を作りたいのですがコストが嵩みます。時給も上がっていて大変です。



記者〜

そういう意味では、東南アジアにさらに新工場を建設する考えは?



田宮氏〜

可能性はあります。東南アジアはすべて有力な市場ですから。ただ、ミャンマーなどいくつか不安定なところはありますからそこは慎重に考えています。



記者〜

海外を強化したいというお話しですが、今後力を入れて行きたい地域は?



田宮氏〜

引き合いが強いのは中国です。

ただ、中国は検討が付かないところがありますね。民主主義の国ではありませんから。

まだ中国は支社もなく代理店だけです。

ロシアにも代理店がありましたが、活動できなくなってしまいました。


記者〜

ウクライナはどのような状況でしょうか?



田宮氏〜

ロシアと同じように商売が難しい状況です。ただ、熱心な模型関係者がプライベートで静岡に来ているようですね。


記者〜

ウクライナ仕様のレオパルト2はタイムリーな製品でした。



田宮氏〜

あれはね、レオパルトの会社から直接依頼があったんです。おかげさまで6,000個がパッと売れてしまいました。商品が足りない状態です。


記者〜

チャレンジャー2やエイブラムスなど、今後も“ウクライナ仕様シリーズ”に期待したいところです



田宮氏〜

そこは期待していただいて良いと思います。

むしろ私が思っているのは、それぞれの戦車で燃料が違うことです。エンジンも違いますし、弾も似ているが違うところがある。薬莢も違う。それで戦えるのか心配です。



記者〜

あの戦車連合の中に日本の10式戦車が含まれていないのが寂しいですね。



田宮氏〜

いやいや。日本の10式は全然ダメ。あれは戦争をやらない国の戦車です。防弾性能が十分ではありません。実際には戦えないでしょうね。



記者〜

模型ファンに向けてメッセージをお願いします



田宮氏〜

タミヤの模型は世界一の品質です。

ただ残念ながらこれまで供給力が足りませんでしたが、現在工場を作っていますので、それが完成すれば、皆さんに商品をお届けできるようになると思います。

その供給力にご期待下さい。今、海外からも代理店がたくさん来ていますが、タミヤの代理店になったところはすべて発展しています。

共存共栄、自分たちだけが大きくなるのはダメ。代理店の中には50年以上のお付き合いのあるところもあります。昨年12月で88歳になりましたが、今凄く楽しいですよ。


記者〜

お話しを伺って引退はまったく考えられていないということがよく分かりました(笑い)。



田宮氏〜

生涯現役。引退はしませんよ。だって働かないと給料貰えないから(笑い)。

体は悪いところひとつもない。頭も悪いところはないと思っているし、ボケてないとも思ってる(笑い)。88はまだ通過点です。一生懸命頑張ります。引き続きタミヤをよろしくお願いします。



記者〜

ありがとうございました。

応援よろしくお願いいたします!